一目でわかる高精度
下穴、あるいは単にコア穴と呼べばよいでしょうか?これは、ドリル孔の周辺部のみを加工した結果、中心に芯が残っている穴を指します。これらの穴は、コアドリルマシンまたはコアドリルを使って開けられます。住宅では、例えば換気扇フード、煙突、煙突の出口、暖房・換気ダクトにこれらの穴が必要です。その直径は10ミリから1メートル超までに及びます。これらの穴は水平方向、垂直方向、あるいは様々な傾斜角度で延びています。その際に、壁面ダクトは様々な負荷にさらされます。ダクト内を通るパイプやラインは、液体が流れると、著しく重くなる場合があります。また、温度も膨張や弾力性に影響します。れんが造りの壁が後で損傷しないようにするために、穴はスリーブなどで密閉されます。こういった構造に詳しいのが、スイスのある特殊継手メーカーです。「そのメーカーは、25種類のサイズのスリーブを自動的に組み立て、ネジ締めし、ラベルを貼ることができる機械を開発するよう当社に依頼してきました」と、ドイツ・プフォルツハイムに本社を構えるSOGA Gallenbach GmbHの代表取締役社長ファビアン・ガレンバッハ氏は語ります。
SOGA社は特殊なソリューションの設計・開発を手がけており、その顧客は医療機器、航空宇宙機器、一般産業などの分野に及びます。「当社のビジョンは、専門的なプロジェクト遂行と優れた開発業務を通じて、お客様と未来を見据えたパートナーシップを結ぶことです」とファビアン・ガレンバッハ氏は説明します。SOGA社は成長分野に重点を置いてきたため、ここ数年間で顧客ベースを拡大することができました。
当メーカーは、要件の厳しい特殊機械を実装する際に選び抜かれたパートナーを頼りにしています。その中には、同様にプフォルツハイムに本社を構えるSTÖBER Antriebstechnik GmbH + Co. KGも含まれています。
再現可能な精度
SOGA社を担当するSTOBERのエキスパート、ギド・ヴィッテナウアーは、「弊社はすべてのプロジェクトでSOGA社と定期的に連絡を取り合っています。そのため、新規受注時にもすぐに事細かな点を説明することが容易になります」と説明します。これまでは、モータと減速機の適切な組み合わせを探す際に、ドライブの専門家が機械エンジニアをサポートすることが度々ありました。
今回のプロジェクトでは見積り段階からチーム作業が始まりました。両社ともに重要な点について話し合い、解決に取り組みました。「取りかかる前に、最初のプロジェクト会議で実現し得るコンポーネントについて検証し、構造的な取り付け条件でテストしました。プロジェクト規模が大きかったため、いくつか調整を行わなければなりませんでしたが、STOBERのエキスパート達は実にうまく対処してくれました」と、ガレンバッハ氏は語ります。
以前は、従業員が手作業でコンポーネントを組み立てていましたが、 この作業には時間がかかり、ミスも起こりがちでした。一方、この新しい機械では、作業員が介入することなく、連続して150個のパーツを自律的に、しかも再現性の高い精度で製造することができます。一人の従業員が工程開始時にコンポーネントを用意し、完全に組み立てられたスリーブをメッシュパレットに入れて運び出すだけです。開発時に重要なことは、段取り時間をできる限り短くすることでした。
同期サーボモータからラック&ピニオンドライブまで
この機械の心臓部は6フィンガーグリッパーです。個々のパーツを正確にピックアップできるよう、システムがこのグリッパーを精密に位置決めする必要があります。ネジ付きリングとカバーワッシャーは、システム前部のマガジンに収納されています。「マガジンの高精度な昇降動作のために、弊社はブレーキ付きサーボヘリカル減速機を納入しました」とヴィッテナウアーは説明します。ヘリカル歯と低摩擦ベアリングのおかげで、その駆動効率は特に高くなっています。
システムの二番目の部分には、ネジ付きリング、高さ40ミリのエラストマーリング、カバーワッシャー用のマガジンが配置されています。3軸ガントリーがこれらのコンポーネントを受け取り、回転テーブル上に積み重ねられた部品をセンサーで回転整列させます。「オービタルドライブのおかげで、6フィンガーグリッパーは、どんなサイズのコンポーネントでも段取り替えなしで取り扱うことができます。弊社はこのドライブ用に同期サーボモーターも納入しました」と、STOBERのエキスパート、ヴィッテナウアーは説明します。
システムの三番目の部分には、もう1台の3軸ガンドリーが配置されています。この3軸ガントリーは、組み立てるスリーブのサイズに応じて、付属ワッシャーがはめ込まれたM6ボルト、M8ボルト、またはM10ボルトを把持し、両コンポーネントに銅を塗布するステーションへ搬送します。STOBERは、ガントリー2台のすべての軸用にラック&ピニオンドライブを納入しました。
SOGA社が開発したネジ締めガントリーが、コーティングされたボルトを受け取り、ネジ付きワッシャー、カバーワッシャー、エラストマーリングから成るアセンブリにねじ込みます。その際に、このアセンブリはプラスチックによる変動力に打ち勝つことができなければなりません。「この課題のために、弊社のエンコーダレスLeanモータが使用されています」と、ギド・ヴィッテナウアーは説明します。その理由は、この用途には極めて動的なモータ制御が必要であるためです。Leanモータによって、回転数とトルクを停止状態から最高回転数まで、トルクを完全に制御した上で無段階調整することができます。スイスの継手メーカーは、ネジ締めシステムを様々なネジ頭に簡単に付け替えることができます。
そして、回転テーブルが、完全に組み立てられたコンポーネントを取り出しステーションまで案内します。この場所にも、SOGA社はラック&ピニオンドライブを設置しました。ヴィッテナウアーは次のように説明します。「部分的または完全に組み立てられたコンポーネントは、取り出しステーションでも3軸ガントリーでも比較的重いため、高い質量でも動的に移動できるよう設計する必要がありました」。
最後に、取り出しユニットがコンポーネントをマーキング用レーザーに送り出します。続いて、コンポーネントが回収のためメッシュパレットに入れられます。
あらゆる駆動タスクに合わせてカスタマイズ
STOBERは、様々なドライブを制御するためにSI6シリーズを納入しました。幅わずか45ミリのこのスリムなドライブコントローラは極めて動的で、多軸駆動システムで設計されています。1台のSI6で2軸まで制御できるため、省スペースという点でも大きな利点があります。
Quick DC-Linkモジュールは、個々の装置を極めて迅速かつ容易に相互接続します。つまり、分散型電源モジュールも各軸用のヒューズや配線も不要になります。
SI6には安全機能STO(セーフトルクオフ)とSS1(セーフストップ1)が組み込まれています。これらの機能は、このシリーズで安全カテゴリ4のPLeを対象としたEN 13849-1に基づき認定されており、生産を中断する機能テストなしで使用することができます。
両社の距離的な近さ、良好な人間関係、そして何よりもパートナーシップに基づく密な連絡体制は、言うまでもなく協業に役立ちました。
このおかげで、軸のパラメータ設定も現場で簡単に行うことができました。ファビアン・ガレンバッハ氏は次のように語っています。「当社はあえてSTOBERを選定しました。17台のモータのうち3台を別の昇降システムで実装することもできました。しかし、その場合はもう一つ別の制御システムを追加する必要がありました。標準化のために、当社にとってこの選択肢はありませんでした」。
SOGA社は、システムをリモートで保守できることにも感銘を受けました。また、PLC機械制御システムにアクセスできるだけでなく、STOBERドライブコントローラ・ネットワークにもアクセスできる点にも魅了されました。
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